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ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 23 Aug 2013 | 10:31 pm

「DSCH」の宣言 ショスタコーヴィチの交響曲第10番は、1953年の夏から秋にかけて作曲され、同年12月17日に初演された。1953年といえばスターリンが亡くなった年である。1948年以降、「ジダーノフ批判」にさらされていたショスタコーヴィチが8年ぶりに交響曲を作曲したのは、おそらく圧政者の死に触発されたためだろう。ただ、この作品をスターリンとスターリンの時代を描いたものだとする見解には、慎重...

ジミー・ラフィン 『シングス・トップ10』 19 Aug 2013 | 11:46 pm

ジミー・ラフィン 『シングス・トップ10』 1967年作品 一聴しただけではそれほど惹かれないが、何度も聴いているうちに味わい深さが増し、気が付けばその歌声に耽溺してしまっている自分に気付くーーそういう気持ちにさせてくれるシンガーはそれほど多くはない。筆者にとってのジミー・ラフィンとは、まさにそういうシンガーである。彼の歌声をひと言で表現するなら(決してファースト・ネームにかけた駄洒落ではなく)...

芦川いづみ 〜清純可憐な存在感〜 14 Aug 2013 | 11:21 pm

 1956年に製作された日活のミュージカル映画『お転婆三人姉妹 踊る太陽』で、芦川いづみは三姉妹の次女・夏子に扮している。その夏子が、寝る前に神様にお願いをするシーンがある。 「神様、夏子に絶世の美貌を与えたまえ。エリザベス・テイラーのような瞳とグレイス・ケリーのような鼻とキム・ノヴァクのような唇、そしてジェームズ・ディーンのような恋人を」 実際の芦川いづみがそういう顔じゃなくて良かったと思うのは...

テンプテーションズ 「雨に願いを」 10 Aug 2013 | 09:32 pm

テンプテーションズ 「雨に願いを」 (1967年/全米No.4) 2013年の日本の気候、取り分け梅雨前後のそれが異常を超越して各地で尋常ならざる事態になっている。7月初旬に関東で早々に梅雨が明けて以来、酷暑(による熱中症患者)、豪雨(による甚大な被害)に関するニュースを見聞きしない日は一日たりともない。酷暑に見舞われている関東以南とは裏腹に、東北地方は冷夏の様相を呈しているという。異常気象はこ...

私が塾講師だった頃 10 Aug 2013 | 05:59 am

 教員志望の同級生に誘われて、塾講師をしていたことがある。1994年4月から1996年3月までの約2年間の話だ。 中学2年生と中学3年生の国語のクラスを受け持っていた。生徒は各16名。授業時間は90分で、1日2コマ。時給は2600円、辞めた時は2900円だった。当時住んでいたアパートから車で50分という遠い場所にあったが、ちょっとした夕食付きだったこともあり、結局大学を卒業するまでその塾で教えて...

ブロッホ ヘブライ狂詩曲『シェロモ』 7 Aug 2013 | 08:12 am

アイデンティティーの結晶 スイス生まれのユダヤ人作曲家、エルネスト・ブロッホはエミール=ジャック・ダルクローズに作曲を学び、一時期はヴァイオリニストのウジェーヌ・イザイにも師事していた。作曲家として知られるようになったのは30歳の時、ロマン・ロランにオペラ『マクベス』を認められてからで、それまではジュネーヴの時計屋で働きながら、余暇を作曲活動や指揮活動にあてていた。1916年には舞踏家モード・ア...

ルー・リード 『トランスフォーマー』 3 Aug 2013 | 10:18 pm

ルー・リード 『トランスフォーマー』 1972年作品 パンク以降の〈ギター・ロック〉に影響力絶大なバンドのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのリーダーだったにもかかわらず1970年に脱退したルー・リード(vo、g)が、その2年後にリリースしたセカンド・ソロ・アルバムである。クールに見えてやんちゃで挑戦的だからムラ(≠ブレ)が多く、地雷盤も作ってきたルーのソロ活動の中で、崇高なロック・オペラの次作...

ジャック・ベッケル 〜フランス映画の粋〜 [続き] 31 Jul 2013 | 02:19 am

『赤い手のグッピー』の潔癖性 戦時下のフランスで本格的に監督デビューし、大きな注目を集めた天才といえば、ほかにロベール・ブレッソンとアンリ=ジョルジュ・クルーゾーがいる。21世紀の今日に至るまでのフランス映画史を見渡しても、際立って個性的かつ異常な才能を持つ3人がほぼ同時期に世に出てきた、というのは興味深い。その中で、ベッケルは「犯罪映画」を得意にしながらも、サスペンスの範疇を超えて、繊細な詩情...

ジャック・ベッケル 〜フランス映画の粋〜 29 Jul 2013 | 01:59 am

遺作にして最高傑作と評される『穴』 ジャック・ベッケルは第二次世界大戦中の1942年に監督デビューし、ヌーヴェルヴァーグ真っ只中の1960年に53歳で亡くなった。18年の間に発表したのは13作品。そのほとんどが傑作として評価され、多彩な作風でゴダールやトリュフォーなど若き映像作家たちに刺激を与えた。実際のところ、彼の代表作をひとつに絞ることは不可能に等しい。私自身は『肉体の冠』こそ最高傑作だと思...

フォーレ 「ラシーヌの雅歌」 25 Jul 2013 | 12:57 am

これほどまでに美しい...... 「ラシーヌの雅歌」はガブリエル・フォーレの初期の合唱曲である。彼はニデルメイエール宗教音楽学校の生徒だった20歳の時(1865年)にこれを提出し、作曲科で一等賞を獲得して卒業した。学生時代の作品とはいえ、その音楽の純粋さ、清澄さ、美しさは、まぎれもなくフォーレ独自のもの。巧みな四声書法がジャン・ラシーヌの詩と融和し、高貴なハーモニーで聴き手を包み込む。短いながら...

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